プロローグ ― ある夜、洗面台で気づいてしまった
ある夜、歯を磨こうと洗面台に立った時のことです。
妻に「これとこれと、これね、夜は」と渡された化粧品(らしきもの)を、改めて見つめました。
3本ある。3本。
「1本でいいんじゃないの?」と聞いたら、軽くため息をついた妻が、こう答えました。
「これは導入美容液、これは化粧水、これは保湿クリーム。それぞれ役割が違うの。」
役割。
会社に行って、なんとか1日を終わらせて、帰って、子供の話を聞いて、明日のスーツをハンガーにかけて、その上で——
これに「美容」を毎日続けるって、相当のメンタル必要じゃない?
いや、待って。3本ってまだ少ない方なのかも……?
オールインワン1本だけで、もうヘトヘト
まず、状況を整理させてください。
私は元々、面倒くさがり。
「スキンケアって、何?」という人間でした。
それが妻の指導で、ようやく「オールインワン1本」というスタートラインに立ったのが、3週間前のこと。妻からはVARONを渡されました。
3週間、続いた。これは偉い。
偉いんだけど、正直に言わせていただきたい。
「オールインワン1本でも、地味にしんどい」
朝、洗顔のあとプッシュ → 顔に伸ばす → 浸透させながら歯磨き → 終わったら次の身支度。
1分。たった1分の作業。
なのに、忘れる。
昨日も忘れました。一昨日も忘れました。
そして妻に「あなた、今朝塗った?」と聞かれて、慌てて塗りました。
「1分の習慣」が続かない3つの理由
たった1分なのに、なぜ続かないのか。私の経験から見えてきた要因は、①動線に組み込んでいない(歯磨きと別の場所に置いてある)、②意識だけで続けようとする(忘れたら終わり)、③「やった意味」を実感できない(変化が地味)、の3つです。逆に言えば、この3つを反転させれば、習慣化のハードルはぐっと下がります。
1分の習慣化、こんなに難しいとは。
妻の洗面台を、こっそり数えてみた
ある日、家族が出払った隙に、妻の洗面台をこっそり覗き込んでみました。
そして、私は理解しました。
- 導入美容液
- 化粧水
- 美容液
- 乳液
- 目元クリーム
- 首にも何か塗るやつ
- リップ用バーム
- UVクリーム
- メイク下地
- ファンデーション
- コンシーラー
- アイブロウ(ペンシル)
- アイブロウ(パウダー)
- アイシャドウ
- アイライナー
- マスカラ
- チーク
- 口紅
- 口紅の上に塗るグロス
これを、毎朝。
電車に乗る前に。
出社する前に。
子供を保育園に連れて行く前に。
あるいは、夫の弁当を作る前に。
私は、オールインワン1本を時々忘れる人間です。
すみません、頭が下がります。
これに「家事・育児・介護」が乗ったら ― 俺なら旅に出る
ここまでの話に、「家事・育児・介護」が乗っかってくる、と。
妻の場合:
- 仕事(フルタイム)
- 子供の世話・送り迎え
- 食事の用意
- 掃除
- 洗濯
- 親の介護(週末に時々帰省)
- 上記すべての上で、自分のメイク・スキンケア・身だしなみ・気遣い
これを、365日。
私だったら、3日目で「旅に出る」を選んでいる自信があります。
バックパックひとつで、ふらりと。
「ちょっとコンビニ行ってくる」のテンションで、東京駅。
気づいたら新幹線。気づいたら京都。気づいたら、宿坊。
そこで、修行僧の方々と一緒に、何も塗らない肌で、お粥をすすっている。
これが、私の中の「逃げ」のイメージです。すみません。
「綺麗でいよう」って、なんの修行ですか?
ここで本気で疑問を投げかけたい。
「綺麗でいよう」「可愛くいよう」って、なんの修行ですか?
化粧水を浸透させ、乳液を重ね、美容液を点で打ち、目元のクリームを優しく、首にも塗布、リップを保湿、UVで防御、下地で整え、ファンデで均一に、コンシーラーで隠し、眉を描き、まぶたに色を、ラインを引いて、まつ毛を上げて、頬に色を、唇に華やかさを、グロスで仕上げる。
これを、毎朝。
これを、無言で。
これを、当然のように。
ブッダがこれを見たら、たぶんこう言うと思うんです。
「お主、悟りを開いておるのではないか?」
そして妻はこう答える。
「いえ、ただの平日です。」
この応答に、私は震えました。
街で見かける「清潔感のあるあの男性」
そういえば、最近、街で「清潔感のある男性」に目が行くようになりました。
- 肌がきれいな40代
- 眉が整っている50代
- シャツがピシッとしている60代
清潔感のある男性に共通する3つの要素
街で目に留まる男性たちには、年代を問わない共通点があります。①肌に整いがあること(乾燥していない、シミが目立たない)、②輪郭がはっきりしていること(眉・耳まわり・襟元のラインが整っている)、③服が体に合っていること(サイズが今っぽい)。逆に、実年齢そのものは、ほとんど関係していません。
ふと考えるんです。
「あの人たち、化粧水とか、使ってるのかな?」
たぶん、使ってる。
そう、たぶん使ってる。
そして私がオールインワン1本で「えらい」と妻に言われている世界の、ずっと先を行っている。
3本セット、いや、5本セットを使いこなしているかもしれません。
うわ、すごい。うわ、敵わない。
でも、追いついてみたい、とも思うんです。
妻が日々続けている「修行」に、せめて後ろ姿が見えるくらいの距離まで。
結論 ― 女性陣に敬意を、自分にもご褒美を
長くなりましたが、結論はシンプルです。
40代男性が美容と向き合うための4つの心得
- 女性陣の皆さま、本当にお疲れさまです。一生、敬意を抱きます。
- 同志の40代男性たちへ。オールインワン1本でも、十分立派です。
- 妻が「夜だけでもいいから続けて」と言ったら、聞いてください。たぶん、これが一番大事です。
- そして、自分への小さなご褒美も、忘れずに。
たとえば、好きなコーヒーを飲みながら、塗る。
お気に入りの音楽を聴きながら、塗る。
鏡を見ながら、「今日も俺、頑張ってるな」とつぶやきながら、塗る。
1分の習慣を、ちょっとした「儀式」にすると、続きやすい気がしています。妻監修の全体像は清潔感の完全ガイドにまとまっているので、僕より先にそちらを読むのもアリです。
儀式といえば、ブッダも修行のはじめは坐禅から、と聞いた覚えがあります。
オールインワン1本も、同じくらいの覚悟で。
【Q&A】よくある質問
まとめ ― 旅には出ない、でも、ちょっとだけ続けてみる
旅には、出ません。
今日も、オールインワン1本を、忘れずに(できれば)。
明日も、忘れずに(たぶん)。
明後日も、忘れずに(妻のチェックの下で)。
「綺麗でいよう」というブッダも驚く修行を、世界中の女性陣が毎日やってくれている。
だから私も、ほんの少しでいいから、追いつきたい。
追いつけないと思うけれど、せめて、後ろ姿だけでも見えていたい。
妻に、そして女性陣の皆さまに、改めて敬意を込めて。
妻監修のラボから、ひと言
夫がこの記事を書いていたこと、ちゃんと知っていました。
洗面台のスツールに腰掛けて、コーヒー片手にスマホでメモを取っていたのも、見えていました。
「気づかれないように」とこそこそしている姿、可愛いから、しばらく黙っておきました。
「陰の努力は、欠かさないでいてくださいね。」
これが、私の本音です。
言葉にしないだけで、女性陣はあなたの努力にちゃんと気づいています。
気づかない日があったとしても、それは「気づくに値しない」のではなく、その日たまたま、見落としているだけです。
続けてください。
オールインワン1本でも、十分すごいです。
ブッダだって、最初は一歩から、悟りに到達したのですから。